ひとくちに「バッグのメンテナンス 」と言っても、素材によって、その方法は異なります。素材に合ったメンテナンス方法を採らないと、全く効果がないばかりか、逆に大切なバッグを痛めてしまうことにもなりかねません。取り返しのつかない失敗をしないためにも、自分が持っているバッグの素材は何か、それはどんな特徴を持っているのかを知ることが大切です。そこで、具体的なメンテナンス方法に入る前に、具体例として取り上げるモノグラムとヴェルニの素材特性をおさらいしておきます。
ルイ・ヴィトンの伝統のモノグラムは、見た目の感じから天然皮革だと思っている人もいるようですが、「モノグラム・キャンバス 」という名前が示すように、オリジナルのキャンバス素材です。エジプト綿に合成樹脂(PVC)をコーティングし、その上にモノグラム柄をプリントしています。本来旅行バッグ用に開発された素材なので、耐久性や耐水性に優れています。商品により、ハード・タイプとソフト・タイプがあります。
また、市松模様のダミエ・キャンバスも、手触りはモノグラムよりもハードですが、製法はモノグラムと同じです。したがって、メンテナンス方法も、モノグラムと同様に考えてOKです。
一方のヴェルニは、エンボス加工を施したカーフに、透明コーティングでつやを出したエナメル素材です。ヴェルニ・ラインのコンセプトは、オシャレなタウン・ユース。このため、カラー・ヴァリエーションが豊富で美観に優れているのが大きな特徴ですが、それだけに表面はデリケートです。
モノグラムとヴェルニの両方に使われているヌメ革も、メンテナンスを考える上では大切です。これは、植物タンニンでなめしただけのカーフ。いわば、革そのものです。したがって、色の白いものから、少し茶色が かったものまであるのは、天然素材ならではであり、当然のことと言えます。
では、素材特性がわかったところで、いよいよ本題のメンテナンスに入っていきましょう。